浮浪者

昔から分かってはいたが

目を背けずにはいられなかった

自分には堕落の一路しか見えていなかった

恐らくは十五の夜、いや十八か十九か

多分自分には、本当にやりたいことなんか

堕落しかないのだと

最初から気付いている

で、それがあまりにも

理性で培ってきた今と

かけ離れている

その矛盾に繰り返し突き当たっているうち

曲がり角もなくなり、一種の円形のようになり

何も感じにくくなっている

 

でもやはり、自分は堕落である

自分の先にあるのは

怠惰で、誰にも関わらずに

生きているのか死んでいるのかもよくわからない

傷病手当金で生きているような

失業手当で生きているような

何もない自分が一番

自分らしくいられることを最初から知ってしまっていた

 

何者にも囚われず

ただ好きなことだけをやり

旅をし、リスクをとり、世間から隔絶し

気づけば40歳にもなった頃には

本当に浮浪者というか

 

それがぴったりなんだと思う

ただ、今の自分が頑張っているのは

それではいけないという理性が働いているからで

それがいつまで持つかなんてのは

糸を引っ張っている自分には計り知れないことなのである

 

こう思った時が

今を離れるきっかけであり

何かを掴むきっかけである