母のこと

この人を支えていたい、愛とか思慕に塗れた感情だ。子供に、お前に求めてなどいないと言われるのが恐ろしくて、自分には誰かを愛すのが恐ろしい。とにかく人と関わり合いを持たずに生きてきてしまっている。わかってる。

 

人生の第二段階が終わりを迎えている。終わりはなくいつも本当は実に流動的で。私は勘違いした構造を脳に文字起こしして張り紙にして、画鋲を使って貼っている。そして今を都合良く生きるのだ。

 

戦えよ。そういう感情が唯一この都会暮らしの自分を奮わせてくる彼女から受け継いだものだろう。

私は彼女に愛でられては愛でてもらってばかり、何も彼女について理解をせずに約27年間も側にいる。母として眠るその顔を、私は安堵の表情と、落胆の表情で見る。

なにもしてあげられていない自分の、それが無論なにもしてやりたくないわけではないことはわかっているのに。

わかっていても刷り込まれた、彼女に愛されるべき自分というプリセットがいつまでも消えない。

私は感謝を受験の頃にしか述べてない。

当たり前の基準に疑問も持っていない。

私は母のことを何も知らない。