その男、消化不良につき。

実家に帰ると心が露わになる。

それは全般的に見ると良いことではあるものの、辛く苦しくなる部分がある。

 

それは例えば、時間の流れに関する諸行無常のような安心感を覚えるとか。今のままで良いんだと思う瞬間に、今のままではダメだという逼迫した思いが心を追い詰めてくる。

それは、別なのだ。

本来の自分にはなかった、社会との接点を通じて得た、獲得した穢れ。

 

自分はこのままでいいのだ、そう思えるはずの心だったはず。

いつからこんな風になってしまい、生きるようになった。

そんな絶望は18の頃から何度も繰り返し繰り返し、嫌という程に味わっているのだが。

その痛みにもなれ、受容することに慣れ、

痛みに無感覚となってしまい、わかりやすさなんてものを追い求めたくなる。

そんな無様な醜態を、あの子はどう思うかな。